Respawn Point

酔い止めを飲んでFPSしてる僕の隣で注がれるビール


酔いながらヘッドショットを軽く決め君が(コンマ1秒)僕を見るから


ただ君といたくてゲームを始めてた「死ねよ」と笑う君といたくて


銃弾が飛び交う画面 硝煙の虚構がソファの隙間を埋める


手榴弾投げて「リア充爆発」と笑うあなたと真顔の僕と


お隣のギターが震度5で止まりまた奏でられお風呂に入る


浴槽の隅に置かれたぐにゃぐにゃの絆創膏が湯気の行き先


雨に濡れ薫り立つ花しとやかに人の足止め影に根を張る


開かない自動扉の前にいて客と眼が合い眼を逸らされる


標識は落石注意を意味してた優しくされて好きになっても


積み上げた木片濡らす夢を見て半透明の銃の青空


罪状をラップで読み上げDisり合う裁判ならば呼んで下さい


靴下を脱いで思わず息を止め「探さないで」と書きたい気分


take2:連絡先をさりげなく聞き出す(蟹のことは忘れろ)


あの日からサイズ違いの言葉だけ陳列されて裸足の心


「オラトリオ」「オーストラリア」しりとりでエスカレーター降りるJK


満月を仰ぎ見ながら新しい街を歩いたお腹を抑え


廃屋の庭に丸椅子並べ終え誰も座らず朝はまだ来ず


「お前らを消す方法」と検索し眠るイルカの顔の駅員


プラスチックの胸を裂いて叫んでほしい初音ミクには出せない声で


駅前の朝のひだまり 「待った?」「ううん」小学生の男女が地下へ


充電の切れたスマホは僕たちを映す鏡として黒くあれ


休日も出勤となる君といて無職の僕はトイレを磨く


二つ名は「米研ぎのヤス」にやついて研ぎ汁流せば米も一緒に


「ハロワとはハワイのアロハ」と嘯いた西崎くんはコンビニにいる


ゲーム機の埃拭き取る 何度でも死ぬから君は僕を殺して


僕は案山子です僕は案山子です引き抜かれ捨てられあなたはカラス


焼きたてのパンだったはず昨夜まで 袋の中の白い空白


ふたりとも老人になり再会しFPSの曠野で死のう


君といた日々がリスポーン・ポイントになってる 指で新月を撃つ

すれ違いの猫たち

短歌・詩・散文を掲載しています。