苔になる

縫われてしまいました。空。現実。わたしはここで生きられないのに


この世にいちゃいけないと思う夜 星は血よりも静かに巡る


灯籠は流れて(大人になりたくない)優しい夢のままで壊れた


心なんて開かなくても生きていける舌に張り付く髪の毛を取る


ぬいぐるみ探しています。クマ、片目、これはあなたが踏んだボタン、


しみしみと痛みし瞼押さえれば狂える蝶の沈黙がある


輪投げ屋の少女がひとりまたひとり姿を消して祭りの夕べ


約束と呼びたくなかった泣くように笑ってゆびきり、ひかり、それきり、


苔になる 木の葉が撒いた秋の陽をさざめく波と信じて生きる

すれ違いの猫たち

短歌・詩・散文を掲載しています。