東京

 ブラインドが開いているのは数か所だけで、全体は暗く影に覆われていた。僅かな隙間から漏れ落ちる冬の朝の光を見ていた。コーヒーを飲む。コンビニから会社まで1分もかからないのにコーヒーはもう冷めかけていた。あたしと同じだ。熱しやすく冷めやすい。
 仕事も娯楽も長続きしたことはなかった。あっという間に飽きてしまう。恋愛も同じだった。相手に非はない。悪いのはいつもあたしだ。ブラインド越しに街を見下ろす。東京。変われるって信じてた。でもあたしは変われなかった。暖房はまだ効かなくて、濾過された光に温度はなかった。


  さよならの数なんてもうわからない胸がざわめくときどきすごく

すれ違いの猫たち

短歌・詩・散文など